更新日:平成24(2012)年1月27日
あ行
え
営業余剰・混合所得
生産活動により産み出された付加価値のうち、市場生産者(企業等)の貢献による分で、市場生産者の所得となります。
このうち、営業余剰は企業会計上の営業利益に近い概念です。混合所得は家計のうちの個人企業の取り分であり、事業主や家族労働者の労働報酬的要素と区別することが困難なので、営業余剰(家計における持ち家分)とは区別しています。
なお、営業余剰・混合所得は市場での利潤追求を目的とする産業のみに発生し、政府サービス生産者、対家計民間非営利サービス生産者には発生しません。
か行
か
家計最終消費支出
家計最終消費支出は、家計(個人企業を除く)が新規に財貨・サービスを取得するために行った支出です。中古品やスクラップについては、購入費が加算され、販売額が控除されます。土地と建物は含まれません。農家における自己消費、自己所有住宅の帰属家賃、賃金俸給における現物給与等は含まれます。
き
企業所得
企業部門の営業余剰に財産所得の純受取を加算したもので、企業会計上の経常利益に近い概念です。
企業所得=企業の営業余剰(企業会計上の営業利益)+財産所得の純受取(受取-支払)
帰属計算
県民経済計算上の特殊な処理で、財貨・サービスの提供ないし享受に際して、実際には市場でその対価の受払いが行われなかったにも関わらず、それがあたかも行われたかのようにみなして擬制的取引計算を行うことをいいます。例として農家における農産物の自家消費等や金融業の帰属利子、持ち家の帰属家賃などがあります。
帰属家賃
帰属家賃とは、実際には家賃の受払を伴わない住宅等について、通常の借間と同様のサービスが生産され消費されるものとみなす、帰属計算上の家賃です。帰属家賃には、「持家の帰属家賃」と「給与住宅差額家賃」があります。
持家の帰属家賃とは、自己所有の持家について計算した帰属家賃です。持家に帰属家賃を設定する理由は、持家の建設・購入が、賃し家の建設・購入と同様に総資本形成として記録されることです。総資本形成は生産のための支出であり、貸し家の場合は住宅賃貸サービスを生産するためのものですから、持家の場合も何らかの生産を行うように処理する必要があります(もし持家の建設・購入を消費として記録すると、貸し家は資産として存在する一方、持家は資産ではないということになってしまいます)。そのため、持家の所有者は住宅賃貸業を営み、そのサービスを自ら消費する(帰属家賃を支払う)ように扱われます。なお、このように設定された持家産業(制度部門は家計)の産出額は、帰属家賃の総額で� �り、そこから中間投入(修繕費等)、固定資本減耗、生産・輸入品に課される税(固定資産税等)を差し引いた額が持家産業の営業余剰、さらに住宅ローンの支払利子、支払地代を除いた額が企業所得となります。
給与住宅差額家賃とは、給与住宅に実際に支払われた家賃(通常より安く設定されている)と、市場評価額との差額です。この分も、実際に支払われた家賃と同様に、住宅賃貸業が生産し、家計が消費したものとして記録されます。さらに、給与住宅差額家賃は、給与住宅提供者から家計への現物給与として、雇用者報酬に含まれます。
帰属利子
金融業の生産額を適切に評価するために設けられている帰属計算項目です。貸出等の受取利子及び配当から預金等の支払利子を控除した額で、いわゆる「利ざや」を意味しています。金融業の生産額推計に当たって、その産出額を手数料収入のみとすると、金融業の生産額・営業余剰などがマイナスになってしまい、活動実態を反映しなくなってしまうことから、帰属利子も産出額に含めて計上されます。
しかし、これは、他の産業が金融業から融資された資金を元に生産活動を行うことによって生み出した付加価値から支払われているものであり、各産業の総生産(付加価値)額に含まれています。付加価値の二重計上を避けるため、帰属利子は全て産業が中間投入するものとして扱いますが、帰属利子を各産業部門に分割することは困難なため、別に表章項目を設けて、一括控除しています。
93SNA
SNAとは「System of National Accounts」の略称で、「国民経済計算」または「国民経済計算体系」と訳されています。一国の経済状況を体系的に記録する国際基準のことをいい、93SNAとは、国連が1993年に加盟国に導入を勧告した国民経済計算体系です。
寄与度
各項目の増減がどれだけ全体の変動に影響を与えているのかを表したもので、合計が全体の変動率となります。
各項目の寄与度=各項目の前期との差額/前期の全体額
け
経済活動別県内総生産(生産側)
1年間に県内で生じた付加価値を、生産(供給)側から表したもので、産出額から中間投入を差し引いて求められます。これは、経済活動別分類で把握されます。
経済活動別分類
経済活動別分類は、財貨・サービスの生産及び使用についての意志決定を行う主体の分類です。事業所を基本単位として、生産技術の同一性により分類されます。利潤追求を目的とした市場生産者である産業と、非市場生産者である政府サービス生産者および対家計民間非営利サービス生産者の3つに大別され、それぞれ細分類を持ちます。
経済成長率
県内総生産の対前年度増加率のことです。市場価格で評価した名目値と、物価変動分を差し引いて評価した実質値があります。
県外からの所得(純)
雇用者報酬、財産所得、企業所得などの所得は、県内居住者が県外から受け取ることもあれば、県外居住者に支払うこともあります。両者の差額が県内居住者の純受取で、県民所得から県内純生産を差し引いて求められます。
現金による社会保障給付
現物社会移転
現物社会移転とは、一般政府及び対家計民間非営利団体が、個々の家計に対して、財貨及びサービスを現物により支給することです。医療保険における、高額療養費などの払戻によるものや療養費などのようにサービスを直接支給するものがあり、それ以外にも、社会保障制度に基づかずに一般政府から家計へ移転される教科書購入費などが含まれます。
県内純生産
県内総生産から固定資本減耗を差し引いたものを県内純生産といい、「生産・輸入品に課される税(控除)補助金」を含む市場価格表示と、含まない要素費用表示があります。なお、要素費用表示の県内純生産は、雇用者報酬と営業余剰・混合所得の合計であり、県内要素所得とも呼ばれます。
県内総生産(支出側)
1年間に県内で生じた付加価値を、支出(需要)側から表したものです。県内の生産活動により産み出された付加価値が、どこにどれだけ需要されたのかを示しており、最終消費支出+総資本形成+純移出(+統計上の不突合)で求められます。
県民可処分所得
市場価格表示の県民所得に、県外からの移転(その他の経常移転)の純受取を加えたもので、県民全体の処分可能な所得を表しています。なお、県民可処分所得から、民間及び政府の最終消費支出を差し引くことで、県民貯蓄が算出されます。
県民所得
生産活動により産み出された付加価値が、だれにどのくらい分配されたのかを示したものです。ここでいう「県民」には個人だけでなく政府や企業も含み、県民雇用者報酬、財産所得、企業所得の合計で表されます。また、県内純生産に県外からの純所得を加えることでも県民所得が得られます。なお、県民所得には要素費用表示と市場価格表示がありますが、ただ「県民所得」とだけいった場合は、通常は要素費用表示の県民所得を指しています。
県民総所得
県内居住者の受け取る所得の総額を示したもので、県内総生産に県外からの所得(純)を加えたものです。
現実最終消費
こ
購入者価格
固定基準年方式と連鎖方式
実質化においては、固定基準年方式と連鎖方式という二つの方法があります。
固定基準年方式とは、基準年を固定し、毎年その基準年の価格構造で評価しようとする方法で、連鎖方式とは、基準年を固定せず、前年からの伸び率を積み重ねていく方法です。
固定基準年方式による場合、基準年を固定しているために、基準年から離れるほどバイアス(偏り)が生じ、経済の実態を歪めて表してしまう可能性があります。
連鎖方式では基準年を固定していないため、バイアスの問題は生じません。ただし、連鎖方式による場合、実質値における加法整合性(内訳項目の合計が集計項目に一致すること)が成立せず、その差を開差という項目で表しています。一方、固定基準年方式では加法整合性が成立していますので、開差は必要ありません。
固定資本減耗
生産過程において生じる建物や機械設備など再生産可能な固定資産(有形固定資産及び無形固定資産)の減耗分を評価したものです。(1)通常の摩耗や損傷分を補てんするために必要な額(減価償却費)と、(2)予想される陳腐化及び当然生ずる範囲の修理不可能な偶発事故による損失(資本偶発損)からなっています。
雇用者
雇用主ではなく、被雇用者に近い概念です。産業、政府サービス、対家計民間非営利サービスを問わず、あらゆる生産活動に従事する就業者のうち、個人事業主と無給の家族従業者を除くすべての者を指します。法人企業の役員、特別職の公務員、議員等も雇用者に含まれます。
雇用者報酬
生産活動から発生した付加価値の雇用者への分配額をいい、賃金・俸給(現金及び現物給与)と社会保障制度への雇主の社会負担からなっています。雇主の社会負担は、現実社会負担と帰属社会負担に分けられます。これらは実際に雇用者に支払われるわけではありませんが、雇用者のために雇主が支払うものなので、擬制的に雇用者への支払い報酬として処理されます。
さ行
さ
財貨・サービスの移出入
県内居住者と県外居住者との間で行われる財貨・サービスの取引をいいます。
- 移出とは、県内総生産のうち、県外に需要された分であり、県外居住者が県内で直接購入した分(例えば東京都民が千葉県で買物した分)も含みます。県内総生産(支出側)には加算されます。
- 移入とは、県内需要のうち、他県から需要している分であり、県内居住者が県外で直接購入した分(例えば千葉県民が東京で買物した分)も含みます。県内総生産(支出側)からは控除されます。
在庫品増加
企業が所有する製品、仕掛品、原材料や、卸小売業が所有する流通品といった棚卸資産の、ある一定期間における物量的増減を市場価格で評価したものです。仕掛工事中の重機械器具、商品用に飼育されている家畜も含まれます。
在庫品評価調整
県民経済計算において、在庫品の増加は、総資本形成の一部を構成します。在庫品の増減は、期首と期末の帳簿価格の差額として推計されますが、例えば在庫品が全く増減していない場合であっても、物価が上昇している場合は、帳簿上は在庫が増えているように見えてしまいます。このため、名目的な在庫品増減額から、物価変動に伴う見かけ上の増減額を除いて、在庫品の物量的な増減のみを取り出す必要があります。この調整を、在庫品評価調整といいます。
財産所得
金融資産、土地及び著作権・特許権などの無形資産を賃貸する場合に、結果として発生する所得の移転です。利子及び配当、土地の純賃借料(地代から固定資産税などを除いたもの)、著作権・特許権の使用料などが該当します。ただし、財産所得中の賃借料には、構築物(住宅を含む)、設備、機械等の再生産可能な有形固定資産(生産資産)の賃貸に関するものは含まれません。
財産所得と、その使用する財産との関係は以下のようになっています。
大規模な国家債務の一部consquencesは何ですか?
- 金融資産(下記資産を除く)·································································· 利子
- 株式・出資金··················································································· 法人企業の分配所得
- 保険・年金準備金············································································· 保険契約者に帰属する財産所得
- 有形非生産資産(土地・森林など)及び無形非生産資産(著作権・特許料など) ······ 賃貸料(地代・特許料など)
なお、主要系列表の「県民所得及び県民可処分所得の分配」においては、政府、家計、対家計民間非営利団体の利子、配当及び賃貸料が財産所得として表章され、企業部門の財産所得は企業所得の一部として表章されています。
最終消費支出と現実最終消費
県民経済計算においては、県内で行われた消費を、各制度部門でどう切り分けるか(どの部門の消費と見るか)という点について、最終消費支出と現実最終消費という二つの観点があります。
- 最終消費支出は「支出」とあるように、消費に要した費用の支出額であり、実際に費用を「支出した者」に計上されます。
- 現実最終消費は消費によって受ける便益を金額で表したもので、必ずしも支出は伴わず、「現実に便益を受けた者」に計上されます。
例えば、医療サービスの消費にかかる医療費には、自己負担額と保険給付額があります。最終消費支出では、それぞれの費用の支出者、つまり自己負担額は家計に、保険給付額は政府に計上することになります。一方、現実最終消費では、医療サービスの消費により便益を受けたのは家計だけなので、全額を家計に計上し、消費により受けた便益を表します。
産業
経済活動別分類の1つで、主として利潤追求のために財・サービスの生産活動を行う生産者をいいます。主に民間企業ですが、政府関係機関でも、コスト構造、生産物の性格等が民間企業と類似しているものは含まれます。例えば、県立病院や県水道局、市町村の公営企業などです。
産出額
生産活動によって生み出された財・サービスの総額を指します。売上高に近い概念であり、商品を販売した時点での市場価格で表されます。ただし、卸売・小売業においては、商品の販売額ではなく、仕入額等を控除した額(商業マージン)がベースとなっています。また、政府サービス生産者、対家計民間非営利サービス生産者の産出額は、そのコストによって評価されています。
し
市場価格(表示)
実質化(デフレーション)
ある年における何らかの金額を表す時、その年の価格で評価したものを名目値といいます。また、名目値から物価変動の影響を除いたものを実質値といいます。名目値から実質値を算出することを実質化といいます。実質化の方法には、固定基準年方式と連鎖方式の2通りがあり、県民経済計算では、生産系列で連鎖方式を、支出系列で固定基準年方式を採用しています。
社会給付
社会給付とは、「病気・失業・退職・住宅・教育あるいは家族の経済的境遇のような一定の出来事あるいは状況から生じるニーズに対する備えとなることを意図して家計に支払われる経常移転」と定義されています。県民経済計算においては、老齢年金、雇用保険による失業給付などの「現金による社会保障給付」、適格退職年金などの「年金基金による社会給付」、生活保護などの「社会扶助給付」、退職一時金などの「無基金雇用者社会給付」、医療保険給付及び介護保険給付からなる「現物社会移転」の5つに分類しています。
社会扶助給付
一般政府及び対家計民間非営利団体から家計に支払われる社会扶助のうち、「現金による社会保障給付」や「無基金雇用者社会給付」とならないものです。一般政府分としては生活保護費、戦没者遺族年金、恩給などがあげられ、対家計民間非営利団体分としては、無償の奨学金などが含まれます。
社会負担
社会負担とは、「社会給付が支払われることに備えて社会保険制度に対して行う現実または帰属の支払」と定義されています。県民経済計算では、社会保障基金への負担金のうち(1)雇主負担分である「雇主の強制的現実社会負担」と(2)雇用者負担分である「雇用者の強制的社会負担」、年金基金への負担金のうち(3)雇主負担分である「雇主の自発的現実社会負担」と(4)雇用者負担分である「雇用者の自発的社会負担」、(5)無基金制度への負担金である「帰属社会負担」、の5つに分類しています。
(1)雇主の強制的現実社会負担
雇主が、社会保険制度を管理する社会保障基金に対して支払う負担額。
(2)雇用者の強制的社会負担
雇用者が、雇用者報酬の中から社会保障基金に対して支払う負担額。
(3)雇主の自発的現実社会負担
雇主が、厚生年金基金・同連合会、適格退職年金、確定給付企業年金などの年金基金に対して支払う額。
(4)雇用者の自発的社会負担
雇用者が、雇用者報酬の中から年金基金に対して支払う額。
(5)帰属社会負担
雇主が、社会保障基金、金融機関(信託、保険)、共済制度などの外部機関を利用せず、また自己で基金を設けることもなく、雇用者のために支払った公務災害補償、退職一時金、財形奨励金、団体生命保険料などの額。「無基金」という主体を擬制して、いったん雇主が家計に支払い、家計から無基金に掛け金として支払ったとみなします。
社会保障基金
一般政府の一部であり、(1)社会全体あるいは大部分を対象として社会保障給付を行うことを目的としていること、(2)加入が法律により義務付けられていること、(3)資金が積立方式以外の方法で運営されていること、の3条件を満たす組織を指します。厚生保険、労働保険、船員保険、各共済組合、児童手当、介護保険などがあります。
リードは何ですか?
所得・富等に課される経常税
労働の提供や財産の貸与、資本利得など様々な源泉からの所得に対して、公的機関によって定期的に課される租税及び消費主体としての家計が保有する資産に課される租税をいいます。所得税、法人税、都道府県民税、市町村民税等のほかに家計の負担する自動車関係諸税及び日銀納付金が該当します。
せ
生産者価格と購入者価格
生産者価格とは、商品を生産した事業所が販売した時点での市場価格です。購入者価格とは、商品を消費する事業所などが購入する時点での市場価格をいい、商品が消費者に至るまでの運賃や商業マージンが含まれています。
生産・輸入品に課される税
いわゆる間接税に相当するものであり、財貨・サービスの生産、販売、購入または使用に際して生産者に課せられる税及び税外負担で、税法上損金算入が認められ、かつ、その負担が最終購入者に転嫁されるものをいいます。例えば、消費税、関税、酒税等の国内消費税、不動産取得税、印紙税等の取引税、事業税、固定資産税、企業の支払う自動車税などです。これらは付加価値の構成項目であり、政府の所得となります。また、所得・富等に課される経常税と、生産・輸入品に課される税は、それが所得から支払われるか、あるいは生産コストの一部とみなされるかによって区別されます。従って、自動車税を考えると、企業が購入した場合は生産・輸入品に課される税に、家計が支払う場合には(生産活動との結� �つきがないため)所得・富等に課される経常税に分類されます。
なお、輸入品に課される税は、経済活動別に把握出来ないため、県内総生産には一括して加算されます。
制度部門別分類
制度部門別分類は、所得の受取や処分、資金の調達や資産の運用についての意志決定を行う主体の分類です。非金融法人企業、金融機関、一般政府、家計(個人企業を含む)、対家計民間非営利団体の5部門に分類されます。
政府サービス生産者
政府は様々なサービスを供給しますので、単なる消費主体でなく、生産者としても扱われます。生産活動を把握する経済活動別分類では、政府サービス生産者と呼ばれます。
政府の提供するサービスは基本的に市場で取引されず、価格も経済的に意味を持ちません。そのため、政府サービス生産者の産出額は売上ベースで把握出来ず、生産にかかる費用により把握されます。生産にかかる費用とは、雇用者報酬、中間投入、固定資本減耗、生産・輸入品に課される税の合計です。
政府最終消費支出
政府の自己消費と家計への移転的支出からなります。
政府の自己消費とは、政府サービス生産者の産出額から他部門に販売した額を差し引いたものです。他部門に購入されなかった部分は、政府自らが消費するものとして、政府最終消費支出に計上されます。
家計への移転的支出とは、医療保険及び介護保険による現物社会給付と、教科書購入費等の合計です。
そ
総固定資本形成
民間法人、公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体及び家計(個人企業)が新規に購入した有形または無形の固定資産の額です。中古品やスクラップについては購入額を加算し、販売額を控除します。マージンや移転経費は含みます。土地の購入は含みませんが、土地の造成・改良、鉱山・農地等の開発・拡張等は含みます。
有形固定資産としては、住宅、住宅以外の建物及び構築物、輸送用機械、機械設備、育成資産等があり、民間転用が可能な防衛関係設備等も含まれます。
無形固定資産としては、コンピューターソフトウェアが代表的です。
総資本形成
総固定資本形成と在庫品増加の合計です。これは、民間及び公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体、家計の生産者としての支出のうち、中間消費とならないものを意味します。
総固定資本形成と中間消費の区分は、主に使用期間を基準としてなされます。すなわち、当該期間内において使用されつくすものは中間消費、将来に便益をもたらすものは総固定資本形成です。
総資本形成に係る消費税
設備投資及び在庫投資に係る消費税の控除額を指します。消費税の納税義務者は事業者ですが、税金分は財・サービスの価格に上乗せされ、最終的には消費者が負担する税です。消費税の課税業者が財の購入をする場合、その仕入価格に含まれる消費税は、自らが納める消費税から控除することができることから、財の購入に要するコストは消費税抜きの額とみなすことができます。このため、支出系列における設備投資や在庫投資といった資本形成の額は、消費税込みの額から課税業者が受ける仕入税控除の額を差し引いて計上する方式をとっています。一方、生産系列においては、付加価値の額はすべて消費税が上乗せされている市場価格で把握せざるを得ないことから、生産面と支出面と一致させるために、各部� �の付加価値の合計から一括して控除されています。
遡及改訂
県民経済計算において、毎年度、過去に遡って数値を改定することです。これは、使用される一次統計について、推計時点では当該年度の数値が公表されていない場合があり、いったん直前数値を使用するなどしておいて、当該統計の公表後に再計算を行っていること、ある年度に推計方法が変更された場合には、時系列での比較ができるようにするため、過去の年度についても同じ方法で再計算を行う、などの理由があります。
その他の経常移転(財産所得以外の経常移転)
経常移転は、「財産所得」と「その他の経常移転」(財産所得以外の移転)に分けられます。「その他の経常移転」は、(1)所得・富等に課される経常税、(2)現物社会移転以外の社会給付と社会負担、(3)その他の3つに分類されます。このうち、(3)その他には、非生命保険料・保険金や、一般政府内の経常移転に加え、罰金、対家計民間非営利団体への経常移転、寄付金、負担金、家計間の仕送り、贈与金など、他の項目で表章されないあらゆる経常移転取引が含まれています。なお、制度部門別所得支出勘定で表章されている「その他の経常移転」は、この(3)を指します。
た行
た
対家計民間非営利サービス生産者
対家計民間非営利団体とは、利益追求を目的とせず、社会的・公共的サービスを家計へ提供する団体のことをいい、その活動は通常会員の会費や家計、企業、政府からの寄付、補助金によって賄われます。例えば、労働組合、政党、宗教団体等のほかに私立学校が該当し、これを生産者として把握する経済活動別分類では、対家計民間非営利サービス生産者と呼びます。
対家計民間非営利サービス生産者は利益追求を目的としない非市場生産者のため、その産出額は、政府サービス生産者と同様に生産費用で把握されます。
対家計民間非営利団体最終消費支出
対家計民間非営利サービス生産者の産出額から、他部門に販売した額(私立学校の授業料等)を差し引いた額です。他部門に購入されなかった部分を自ら購入したものとして、対家計民間非営利団体最終消費支出に計上します。
ち
貯蓄
貯蓄とは、経常的収入から経常的支出を差し引いた残差として定義され、資本蓄積のための原資となります。
経常的収入とは、生産に対する直接の貢献分である要素所得と、財産所得等の経常移転所得の受取額です。
経常的支出とは、最終消費支出と、財産所得等の経常移転所得の支払額です。
これらは制度部門ごとに記録され、全ての部門の貯蓄を合計したものが県民貯蓄となります。
中間投入(中間消費)
生産の過程で原材料・光熱燃料・間接費等として投入された財・サービスをいいます。なお、需要の側から見る場合には、中間消費と呼ばれます。
て
デフレーター
総合的な物価水準を表す価格指数です。ある年を基準とし、その年からの物価の変動を表しています。このデフレーターで各年度の名目値を除すと、物価変動の影響を除いた実質値を算出できます。また、デフレーターを直接作成せず、逆算で計算する場合があります。具体的には、名目値の構成項目をそれぞれ実質化し、それを合計することで実質値総額を求めてから、名目値を実質値で除して算出します。このように、実質値を求めてから算出するデフレーターを、インプリシット・デフレーターといいます。
と
統計上の不突合
県内総生産の生産側と支出側は、理論上一致すべきものですが、推計方法の違いや基礎資料の制約により、推計値の食い違いを生じます。統計上の不突合は、この食い違いの整合性を図るために設けられています。国民経済計算と異なり、県民経済計算においては統計上の不突合を支出側に計上していますが、これは、都道府県単位では支出側に比べて生産側の基礎資料が充実しているなど、生産側の精度が高いとされているからです。
な行
ね
年金基金
年金・退職一時金給付のために積み立てられた基金の運用主体です。厚生年金基金・同連合会、適格退職年金、確定給付企業年金などがあります。なお、年金基金から家計に支払われる年金・一時金のことを、「年金基金による社会給付」といいます。
年金基金年金準備金の変動
年金基金に払い込んだ年金負担額と、年金基金から家計に支払われる年金・一時金との差額のことです。県民経済計算においては、金融機関である年金基金と家計との間で行われる年金負担の支払と年金給付は、経常取引として記録されます。一方で、年金基金が管理する年金準備金は、家計が所有している金融資産(貯蓄)として扱われます。このとき、家計の年金負担額と年金受取額の差額によって、家計の貯蓄が過大にならないようにするため、年金負担額と受取額の差額を調整項目として設け、年金負担と年金給付が経常移転として記録されなかった場合と同じ貯蓄額に戻すようにしているものです。
年金基金年金準備金の変動=雇主及び雇用者の自発的社会負担-年金基金による社会給付
は行
ひ
1人当たり県民所得
県民所得を、県の総人口で単純に除したものが「1人当たり県民所得」になります。なお、「1人当たり県民所得」には、個人の所得となる年金や生活保護費等の社会保障関係費、土地などの譲渡所得などが含まれない一方、民間法人企業の企業所得、政府等の財産所得、持ち家の帰属家賃などが含まれるので、いわゆる「個人所得」とは異なるものであり、経済活動を表わす一つの指標として示しているものです。
ふ
付加価値
生産過程で新たに付け加えられた価値のことで、産出額から中間投入額を差し引いたものです。県内で作られた付加価値を全て合計したものが県内総生産となります。
ほ
補助金
産業振興や製品の市場価格を下げるためなどの政策目的によって、政府から産業に対して一方的に給付され、受給者側において収入として処理される経常的交付金をいいます。公的企業の営業損失を補うために支出される政府からの繰入もこの補助金に含まれます。
ま行
み
民間最終消費支出
家計最終消費支出と対家計民間非営利団体最終消費支出の合計です。
む
無基金雇用者社会給付
雇主の帰属社会負担について擬制された「無基金」という主体から、家計(雇用者)に払い戻されたとみなされる額。雇主の帰属社会負担と同額になります。
や行
よ
要素所得
雇用者報酬と営業余剰・混合所得の合計で、要素費用表示の県内純生産と同義です。
要素費用表示と市場価格表示
市場価格表示とは、実際に市場で取引される価格で表すことをいいます。要素費用表示とは、生産に必要とされる要素に対して支払われた費用(賃金、地代、利子等)で価格を表すことをいいます。市場価格表示から生産・輸入品に課される税(控除)補助金を除くと要素費用表示になります。
ら行
れ
連鎖方式
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